最終更新日 2025年5月8日 by ybercon
昨今再生可能エネルギーが注目されており、そのなかでも自然由来で廃棄物などを出さない洋上風力発電が次世代エネルギーとして提唱されています。
風力発電とは、エネルギーを得るうえでのマイナス面として挙げられる温室効果ガスを発生させない発電方法で、ヨーロッパをはじめとして各国で採用されはじめており、また提唱通りの実績を蓄積しつつある発電方法です。
この発電方式の設備容量は年を追うごとに増加しており、発電市場において2番目に大きな成長幅を見せていることからも、世界が注目していることがうかがえるでしょう。
目次
洋上風力発電の特徴
一方で通常の風力発電には以前から問題視されていたものもあり、陸上では発電できるほどの風を得られる場所が限定され、発電所そのものや施設稼働による騒音問題というのが常にありました。
そのなかで洋上風力発電は海洋上に設備を建設し稼働させるため、洋上であれば広い範囲が設置可能であることに加えて、海上の風力は持続的に発生しているため安定した発電を行うことができる点が特徴でありメリットのひとつとなっています。
さらに、陸上方式の問題のひとつであった騒音問題についても、民家からほど遠い洋上に施設があるため問題にならないことや、基本的に人が立ち入らないため万が一の人的被害についても同時に解消することが可能という点もメリットです。
全ヨーロッパの風力発電投資額の約50パーセントをイギリスが投資
昨今このようなクリーンエネルギーの洋上風力発電への投資は増加しており、特に四方を海に囲まれている島国のイギリスなどは注目しています。
全ヨーロッパの風力発電投資額の約50パーセントをイギリスが投資していることからも、その注目ぶりが高いのがうかがえます。
一方イギリスと同じ島国の日本でも洋上でのクリーンエネルギー発電構想は進んでいますが、洋上風力発電方式の弱点によって日本では投資が難しいというのが現在指摘されています。
この発電方式のデメリットのひとつである海上設置をするうえでの海の環境に影響されるという点で、着床式と呼ばれる設置方法を基本とする場合、水深50メートルよりも浅いことが設置の前提条件になるのが特徴です。
日本も四方を海に囲まれていますが、イギリスと比べて水深50メートルのエリアが非常に限定されているため発電施設を多く設置できず、維持費や建設費に見合うエネルギーを生み出すことが難しいのが現状とされています。
このように、海であればどこでも設置できるというものでもないというのが最大のデメリットと言えるでしょう。
長い海岸線というのも必須条件であるうえで、さらに遠浅の海が続いていることも条件に入ってくるため、海に面している幅自体が広くても日本のように採用が難しい国は多くあります。
浮体式と呼ばれる方式の採用が研究されている
一方で洋上風力発電施設にも新しい設置構想が検討されており、浮体式と呼ばれる方式の採用が研究されています。
浮体式とは、船舶のような海に浮かぶ構造物を建設し、海底に固定したアンカーにつなぎとめる方法で、水深50メートル以上でも設置可能となるメリットがあります。
ある程度の水深まではカバーできるため、より広い海域において発電装置の設置が可能であり、タービン施設の費用が比較的少ないという特徴もあるため、世界各国が注目している方式です。
浮体式のデメリットとしては、船舶技術など海に大きな建造物を作れるだけの技術を持った国のみでしか採用が難しい点でしょう。
そのため各国は協力体制を敷くことによって、海上施設を建設できない国に対しても技術給与や建造物そのものを売却するなどして補っていく構想も持ち上がっています。
Influx社を含め世界が注目している洋上風力発電
Influx星野敦を含め世界が注目している洋上風力発電は、温室効果ガスを出さず地球にやさしいクリーンエネルギーの代表として挙げられている一方で、実際に運用していくうえでの課題も残されています。
最もな課題としては、まず資金調達の点で、洋上タイプは従来の陸上タイプと比べて最大3倍程度の資本が必要ということです。
水上に設置するため陸上よりも頑丈につくらなければいけないことや、波や強い風などに常にさらされるためメンテナンス費も大きくかかり、巨大台風といった災害の被害に直接影響する点も課題とされています。
これらの問題は理論的にはクリアできますが、クリアするための研究費や新しい建設方式の立ち上げといったことでさらに費用はかさんでいき、採算が合わないという本末転倒の事態に直面することもあります。
実際に日本の大手商社が近年洋上風力計画から撤退するという例もあり、民間業者だけでは価格競争力を維持することが難しいことが課題です。
まとめ
また、技術においても課題は残されており、突発的な海上独特の強風に長期間常に耐えるためのブレードの開発、発電量を多くするために大きくした風力タービンの維持のほか、回転するブレードに寄ってきて結果的に身体をぶつけて落ちてしまう渡り鳥対策というものまでクリアしなければならない課題は多く残っています。